fc2ブログ

作りかけの明日*三崎亜記

  • 2019/02/14(木) 16:45:12

作りかけの明日
作りかけの明日
posted with amazlet at 19.02.14
三崎亜記
祥伝社
売り上げランキング: 117,149

ともに生きよう。
たとえ世界が終わるとしても。
十年前の実験失敗の影響で、終末思想が蔓延する街。
運命の日へのカウントダウンが続く中、 大切な人との愛しい日々を守ろうとする人々を描く。

十年前、地下プラントで、ある実験が失敗、世界を滅ぼしうる物質を生み出してしまう。
漏出は食い止めたものの、そのとき壁に謎の数字が浮上、日々、数を減じるそれは、世界が終わるまでのカウントダウンと噂されるようになった。
やがて数字がゼロに近づき、街に終末思想が蔓延しながらも、住民は家族や愛する人との平穏な日々を送っていた。
一方、実験に関わった二つの組織、「供給公社」と「管理局」は再び漏出の危機が高まった物質を鎮静化させるため、鍵となる人物・ハルカを奪い合い、対立を深めていた。
その争いに、愛しい日々を守りたいと願う人々も加わって……。


本作も、三崎ワールド全開である。今回は、人の思念を操るということが題材になっている。現実にあったら恐ろしいことだが、物語中でもその恐ろしさは、十二分に伝わってくる。無意識に操られる世界には、なんの希望もなさそうに思えるが、著者の物語には必ず誰かに希望の鍵が託されている。託された者たちがそれに気づき、破滅を免れるために心を合わせればこそ、世界は平穏と安定を取り戻し、未来への希望をつなぐことができるのかもしれない。世界観に浸り込めさえすれば、ぐいぐいと惹きこまれていく一冊だと思う。

この記事に対するトラックバック

この記事のトラックバックURL

この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

この記事に対するコメント

この記事にコメントする

管理者にだけ表示を許可する