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父と私の桜尾通り商店街*今井夏子

  • 2019/04/05(金) 21:23:36

父と私の桜尾通り商店街
今村 夏子
KADOKAWA (2019-02-22)
売り上げランキング: 38,782

違和感を抱えて生きるすべての人へ。不器用な「私たち」の物語。

桜尾通り商店街の外れでパン屋を営む父と、娘の「私」。うまく立ち回ることがきず、商店街の人々からつまはじきにされていた二人だが、「私」がコッペパンをサンドイッチにして並べはじめたことで予想外の評判を呼んでしまい……。(「父と私の桜尾通り商店街」)
全国大会を目指すチアリーディングチームのなかで、誰よりも高く飛んだなるみ先輩。かつてのトップで、いまは見る影もないなるみ先輩にはある秘密があった。(「ひょうたんの精」)
平凡な日常は二転三転して驚きの結末へ。
『こちらあみ子』『あひる』『星の子』と、作品を発表するたびに読む者の心をざわめかせ続ける著者の、最新作品集!

収録作品
・白いセーター
・ルルちゃん
・ひょうたんの精
・せとのママの誕生日
・モグラハウスの扉(書き下ろし)
・父と私の桜尾通り商店街


タイトルや表紙から想像するのどかさとはいささか趣が違う物語たちである。それぞれにとってごく普通に流れていくはずの日常に、ほんの些細な要素が入り込むことによって、違和感が生じ、初めはぽつんとした点のようだったそれが、じわりじわりと広がっていって、日常そのものを侵食していくようなイメージである。何かが違う、と思った時はすでに遅く、後戻りできずに進むしかない。ほんの半歩違う方向に足を踏み出せば、健やかな流れに乗れそうなのに、それはとてつもなく難しいことなのかもしれない。何となく胸のなかがざわついた感じにさせられる一冊である。

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