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神はサイコロを振らない*大石英司

  • 2005/03/27(日) 14:16:44

☆☆☆・・


1994年8月12日、宮崎を飛び立ったYS402便が忽然と消息を絶った。
しかし、その後の捜索では機体の残骸さえ発見できなかった。
東大で量子力学の教授だった加藤が自論を発表したが、多方面からバッシングを受け、東大を追われ、名もない大学に身を置くことになった。
その論とは、「402便は量子の隙間に紛れ込み、時の狭間を漂っており、10年後の2004年8月12日に還ってくる」というものだった。そして、「3日後の8月15日には、402便の乗客乗員はみな再び消えてしまう」と。

2004年の8月12日、402便は無事な姿で羽田に着陸したのだった。

乗客乗員にとっては1994年はほんの昨日のことなのだが、「遺族」という名を与えられた家族たちにとっては長い長い10年だったのだ。
生還した乗客乗員たちにとっても悲喜こもごもの3日間がはじまる。

普通に宮崎から羽田に向かっているつもりだったのに、突然、ここは10年後で あと3日の命だ、と言われたら、どうしたらいいのだろう。
自分なら 告げられた事実を自分に納得させるだけで3日を費やしてしまうのではないだろうか。
しかし、彼等のほとんどはおそらく3日でできる最良のことをしたのではないだろうか。

それぞれの3日間を淡々と描くことで、事実と運命の如何ともし難さに悶え、人の気持ちのもつ熱にほろりとさせられる。

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