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ヒートアップ*中山七里

  • 2019/05/15(水) 16:53:05

ヒートアップ
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中山 七里
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七尾究一郎は、厚生労働省医薬食品局の麻薬対策課に所属する麻薬取締官。警視庁のみならず関東一円の捜査員の中で有名な存在だ。その理由は、おとり捜査を許された存在であることの他に、彼の特異体質が一役買っている。現在は、渋谷など繁華街の若者の間で人気の違法薬物"ヒート"の捜査に身を投じている。"ヒート"は、ドイツの製薬会社スタンバーグ社が局地戦用に開発した兵士のために向精神薬で、人間の破壊衝動と攻撃本能を呼び起こし、兵器に変えてしまう悪魔のクスリ。それによって、繁華街の若者チームの抗争が激化しており、数ヶ月前敬愛する同志・宮條が殉職した。絶望と怒りを胸に捜査を進める七尾に、ある日、広域指定暴力団の山崎から接触があった。目的は、ヒート売人・仙道の捜索について、手を組まないかというものだった。山崎の裏の狙いに気を付けながら、仙道確保のため情報を交換し共闘することを約束した七尾だったが、ある日仙道が殺される。そして、死体の側に転がっていた鉄パイプからは、七尾の指紋が検出された……。犯行時刻のアリバイがなく、特異体質のせいでヒート横領の動機があると見なされ拘留された七尾。これは山崎の仕掛けた罠なのか! ?


どうやら『魔女は甦る』の続編のようである。うっかりこちらを先に読んでしまった。何やら現実に起こりそうな事案であり、戦々恐々としながら読み進んだ。特異体質を持つ麻薬取締官・七尾と、反社会的団体のNo3・山崎が大同の元小異を捨てて、今回限りの共闘を組んだ。二人のキャラクタや駆け引きが興味深い。ヒートを撲滅し、売人を逮捕するという単純なストーリーではなく、事はもっと大きな枠組みの中で起こっているのだった。後半は、これでもかというほど凄惨なアクションシーンが続き、さらに、日本が舞台だとはにわかに信じられないような展開になる。この辺りはもう想像の域をかなり超えてくる。だが、現在の世の中を見ると、絶対にありえないとは言えないところが空恐ろしいところでもある。読むのに覚悟がいる一冊である。

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