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絶声*下村敦史

  • 2019/10/08(火) 16:23:08

絶声
絶声
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下村 敦史
集英社
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親父が死んでくれるまであと一時間半――。
もう少しで巨額の遺産が手に入る。大崎正好はその瞬間を待ち望んでいた。
突如、本人名義のブログが更新されるまでは……。
『私はまだ生きている』
父しか知り得ない事実、悔恨、罪などが次々と明かされていく。
その声が導くのは、真実か、破滅か。
驚愕のラスト&圧倒的リーダビリティの極上ミステリー!


すい臓がんを患い、余命いくばくもない時期に突然疾走し、生死不明のまま時が経ち、遺産目当ての子どもたちの動きが慌ただしくなった折も折、父のブログが更新される。失踪宣告は一旦棚上げされ、一日も早く遺産を手に入れるためだけに、子どもたちはあれこれ調べ始めるのだが……。先妻の子どもと後妻の子ども、後妻が離縁された経緯、遺産のために仕組まれたあれこれ、父本人の後悔、などなど、複雑な要因が絡み合い、さらには、父本人によって仕組まれた仕掛けによって、思ってもみない結末を迎えることになる。面白く読んだのだが、登場人物の誰もが、私利私欲のためにしか動いておらず、個人的には誰にも肩入れすることができなかったことが、もうひとつのめり込めなかった一因かもしれない。自らの生き方が招いたこととはいえ、父親の哀れが思われてならない一冊ではあった。

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