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毒殺魔の教室*塔山郁

  • 2019/12/06(金) 13:29:24


那由多小学校児童毒殺事件―男子児童が、クラスメイトの男子児童を教室内で毒殺した事件。加害児童は、三日後に同じ毒により服毒自殺を遂げ、動機がはっきりとしないままに事件は幕を閉じた。そのショッキングな事件から30年後、ある人物が当時の事件関係者たちを訪ね歩き始めた。ところが、それぞれの証言や手紙などが語る事件の詳細は、微妙にズレている…。やがて、隠されていた悪意の存在が露わになり始め、思いもよらない事実と、驚愕の真実が明かされていく。『このミステリーがすごい!』大賞2009年、第7回優秀賞受賞作。


三十年前の6年6組で起こった毒殺事件に関する聴き取りが描かれる前半。立場や役割、当事者との関わり方によって、記憶には少しずつずれがある。それが意図的なものなのかそうではないのか。読者はそれも含めて注意深く読み進めることになる。一歩ずつ真相に近づいているのか、いないのか。それさえも判然としない中、僅かずつではあるが、新しい事実もあぶりだされ、割に早い段階で事件の仕組みの大枠は判ってくる。だが、さらに読み進めると、想像以上の企みが隠されていたことも見えてきて、慄然とさせられる。そしてさらにエピローグとして配された小説の抜粋に、混乱させられるのである。一体どういうことなのだろう。薄皮を剥ぐように真実に近づきながら、どんどん遠ざかっているような心地にもなる一冊だった。

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