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罪と祈り*貫井徳郎

  • 2019/12/27(金) 16:53:54


元警察官の辰司が、隅田川で死んだ。
当初は事故と思われたが、側頭部に殴られた痕がみつかった。
真面目で正義感溢れる辰司が、なぜ殺されたのか?
息子の亮輔と幼馴染みで刑事の賢剛は、死の謎を追い、
賢剛の父・智士の自殺とのつながりを疑うが……。
隅田川で死んだふたり。
そして、時代を揺るがした未解決誘拐事件の真相とは 辰司と智士、亮輔と賢剛、ふたりの男たちの「絆」と「葛藤」を描く、儚くも哀しい、
衝撃の長編ミステリー。
貫井徳郎、新境地!


辰司と智士の親世代と、亮輔と賢剛の子世代が交互に語られ、やがて一本の流れになって、すべての謎をつまびらかにするという物語である。親世代の背負った重荷があまりにも重すぎ、それを知った子世代が受けとめ切れないほどなのだが、親たちが起こした事件の重大さに対して、その動機がどうにも軽く感じられてならない。時代の空気とか、憤りの強さとか、さまざま理由は考えられるが、それにしても、誰かひとりでも冷静な判断力を持った人がいなかったのかと悔やまれてならない。だが起こってしまったことは変えようがない。成長した子どもたちが、やがてその手で明るみに出すまで、口は堅く閉じられたままだったのである。残された家族にまでこれほどの苦悩を味わわせることになることを、予測できなかったはずはないのに、と歯噛みしたくなる思いである。謎がすべて解き明かされても、まったく救いがない物語で、やりきれなさすぎる。ただ、充実した読書時間を過ごさせてもらえた一冊ではある。

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