FC2ブログ

歩道橋シネマ*恩田陸

  • 2020/01/27(月) 16:39:45


とある強盗殺人事件の不可解な証言を集めるうちに、戦慄の真相に辿り着いて……(「ありふれた事件」)。幼なじみのバレエダンサーとの再会を通じて才能の美しさ、酷薄さを流麗な筆致で描く「春の祭典」。
密かに都市伝説となった歩道橋を訪れた「私」が記憶と、現実と、世界の裂け目を目撃する表題作ほか、まさにセンスオブワンダーな、小説の粋を全て詰め込んだ珠玉の一冊。



とても短い物語集である。さっと読めるのだが、どれも不思議な余韻があって、しばらく引っ張られるような心地になる。平穏な日常の中に潜む恐怖に似たなにかが、ふと振り向いた隙間から覗いているような、一瞬背筋が凍るようなものもあれば、目を閉じた途端に異次元へ運ばれ、目を開けるとほんの一瞬だったというような印象のものもある。短すぎて消化不良なものもなくはなかったが、概ね楽しい読書タイムをくれる一冊だった。

この記事に対するトラックバック

この記事のトラックバックURL

この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

この記事に対するコメント

この記事にコメントする

管理者にだけ表示を許可する