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沈黙博物館*小川洋子

  • 2005/04/12(火) 18:23:25

☆☆☆・・



 めぐる季節とともに深まる謎・・・・・
 形見たちが語る物語とは?頻発する殺人事件の犯人は?
 死の完結を永遠に阻止するために死者が遺した断片を求めて

 耳縮小用メス・・・シロイワバイソンの毛皮・・・
 年増の娼婦の避妊リング・・・切り取られた乳首・・・
 
 「形見じゃ」老婆は言った。

 「私が求めたのは、その肉体が間違いなく存在しておったという証拠を、
 最も生々しく、最も忠実に記憶する品なのだ。
 これを展示、保存する博物館を作ってもらいたい」

                     (帯より)


博物館作りを依頼された博物館技師が、とある村に着き、
≪沈黙博物館≫という名の博物館を作り上げる物語である。
依頼主の老婆が彼に要求したのは、その村で死んだ人の形見の博物館を作ること。そして、今から先、この村で死んでゆく人の形見を収集すること。
形見は、何でもいいというわけではなく、自ずとそれと決まる、その人が生きたことを如実に物語るものでなければならない。そしてまた、形見を収集するためには手段を選ばない。

老婆が長年にわたり集めてきた形見の物語を文書化し、死者が出ればその形見を取りに赴き、厩舎を展示室に改装しながら、技師はその村で長く過ごし、今までいた場所から自分で思うよりずっとずっと遠くまできてしまっているようだ。
物言わぬ形見の品々は何よりも雄弁に死者たちそれぞれの人生を語り、博物館の関係者の誰もが雄弁な沈黙に呑み込まれているようである。
胸騒ぎさえも沈黙の中に封じこめてしまうような、ある種不穏な、けれど満ち足りた静けさが漂っている。

 TB
ERIさん

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この記事に対するコメント

TBとコメントありがとうございます。

ふらっとさん、いつもありがとうございます!「静けさ」というのが、この作品の大切なところですよね。小川洋子さんの作品の空気がとても好きです。
コメントいただいたページにもお返事かきました。みてくださいね。

  • 投稿者: ERI
  • 2005/10/16(日) 22:43:18
  • [編集]

拝見してきました

読書の連鎖が
果てなく伸びて繋がってゆくことを思いました。
誰かが誰かの書いたものに影響を受け
それを読んだ誰かがまた何かを書き残し...
という風にどんどんつづいてゆくのかもしれませんね。

  • 投稿者: ふらっと
  • 2005/10/17(月) 07:21:37
  • [編集]

そうですよね!

読書の連鎖・・。うん、それは本当にそうですね。それによって思いも広がっていく。
静かな波が広がるように。いいですね、この言葉。よく覚えておこう、と思います。
そんな風に繋がっていけたら、うれしいな。

  • 投稿者: ERI
  • 2005/10/18(火) 22:19:30
  • [編集]

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