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地面師たち*新庄耕

  • 2020/03/12(木) 18:38:42


ある事件で母と妻子を亡くした辻本拓海は、大物地面師・ハリソン山中の下で不動産詐欺を行っていた。ハリソン山中を首謀者とし、拓海を含む五人のメンバーが次に狙ったのは、市場評価額百億円という前代未聞の物件だった。一方、ハリソン山中を追う定年を間近に控えた刑事の辰は、独自の捜査を続けるうち、ハリソンが拓海の過去に深く関わっていたことを知る。一か八かの最大級の詐欺取引、難航する辰の捜査、そして、地面師の世界の深奥に足を踏み入れた拓海が知る事実とは―。


まるでドキュメンタリーのような緊迫感を味わえる物語である。人間の欲望に巧みにつけいっているとは言え、こんなことをされたら騙されない方がおかしい、と思わずうなってしまうような巧妙さである。さまざまな証明書や書類の類の偽造技術の巧妙さも、ここまで来ているのかと、ため息が出るほどである。被害者側の思惑にも同情できない要素があることもあって、つい地面師たちに肩入れしそうになってしまうが、そんなころ合いに定年間近の刑事・辰の捜査状況が挿みこまれるので、一時我に返ることができる。一旦悪の片棒を担いだら、泥沼だということもよく判る。文句なく面白い一冊だった。

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