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シンクロニシティ 法医昆虫学捜査官*川瀬七緒

  • 2020/04/05(日) 16:35:02


東京・葛西のトランクルームから女性の腐乱死体が発見された。全裸で遺棄された遺体は損傷が激しく、人相はおろか死亡推定日時の予測すら難しい状態だった。捜査一課の岩楯警部補は、若手刑事の月縞を指名して捜査に乗り出した。検屍を終えてわかったことは、死因が手足を拘束されての撲殺であることと、殺害現場が他の場所であると思われることの2点だった。発見現場に蠅とウジが蝟集していたことから、捜査本部は法医昆虫学者の赤堀涼子の起用を決定する。赤堀はウジの繁殖状況などから即座に死亡推定日時を割り出し、また殺害状況までも推論する。さらに彼女の注意を引いたのは、「サギソウ」という珍しい植物の種が現場から発見されたことだった。「虫の知らせ」を頼りに、法医昆虫学者が事件の解明に動き出した。


警察の捜査だけでは絶対に見つけ出せないだろうと思われるような、昆虫やその周辺に関連する微細な要素に引っかかり、深く掘り下げていく昆虫学者・赤堀涼子。犯罪を解明するという使命感はもちろんあるだろうが、それ以上に、虫が知らせるあれこれに耳を傾けて、真実を知りたいという探求心が勝っているように見える。執拗なまでの実地調査や観察が導き出すものは、既成観念に凝り固まった警察官たちを驚愕させるばかりである。だが、そのおかげで、思ってもみないほど根深い恨みと復讐心が暴き出されることになるのである。蛆の描写には、相変わらず馴染めないが、興味深いことこの上ないシリーズである。

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