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株価暴落*池井戸潤

  • 2020/04/12(日) 16:37:44


巨大スーパー・株式会社一風堂を襲った連続爆破事件。企業テロを示唆する犯行声明に株価は暴落、一風堂の巨額支援要請をめぐって、白水銀行審査部の板東洋史は企画部の二戸哲也と対立する。一方、警視庁の“野猿"刑事にかかったタレコミ電話で犯人と目された男の父は、一風堂の強引な出店で自殺に追いこまれていた。傑作金融エンタテイメント。


経済小説のようでもあり、旧態依然とした企業の身勝手な体質を糾弾する物語でもあり、さらには、警察の腐敗体質の話でもあるので、いろんな方面から興味深く読める。警察であれ、私企業であれ、規模が大きくなればなるほど、善意の人間も悪意の人間もいて、しかもそれが企業のためなのか、わが身のためなのかの違いで、影響力がさまざまなのでおもしろい。池井戸作品は、肩入れしたい人物がたいてい決まっているので、得られるカタルシスも大きいのだが、今作は、その辺りは多少微妙ではある。ともかく、のめり込める一冊だった。

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