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<あの絵>の前で*原田マハ

  • 2020/07/12(日) 19:10:57


どこかの街の美術館で小さな奇跡が今日も、きっと起こっている。人生の脇道に佇む人々が“あの絵”と出会い再び歩き出す姿を描く。アート小説の名手による極上の小説集。


 「ハッピー・バースデー」 <ドービニーの庭> ゴッホ ひろしま美術館
 「窓辺の小鳥たち」 <鳥籠> ピカソ 大原美術館
 「檸檬」 <砂糖壺、梨とテーブルクロス> セザンヌ ポーラ美術館
 「豊穣」 <オイゲニア・プリマフェージの肖像>  クリムト 豊田市美術館
 「聖夜」 <> 東山魁夷 白馬の森 長野県信濃美術館
 「さざなみ」 <睡蓮> モネ 地中美術館

もっと絵が前面に出た物語かと思ったが、さにあらず。絵がなければ始まらない物語ではあるのだが、美術に疎い人でも、美術館に行ったことがない人でも、思わず美術館に足を運んで、その絵のまえに立ってみたくなるような、心の奥底にほんのりと明かりがともるような、満ち足りて穏やかでしあわせにしてくれるような、やさしいストーリーなので、いつの間にか惹きこまれている自分に気づくのである。何度も熱いものがこみ上げてくる。心が豊かになるような一冊だった。 

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