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修羅の家*我孫子武丸

  • 2020/08/17(月) 16:36:21


簡易宿泊所で暮らす晴男はレイプ現場を中年女性・優子に目撃され、彼女の家につれていかれる。そこには同じ格好をした十名ほどが「家族」として暮らしていた。おぞましい儀式を経て一員となった晴男は、居住者は優子に虐待されていることを知る。一方、区役所で働く北島は、中学時代の初恋相手だった愛香と再会し「家族」での窮状をきく。北島は愛香を救い出す可能性を探るが、“悪魔”が立ちはだかる。


後半の視点の転換によって、いろいろ納得できる部分もあったが、それにしても、終始おぞましい。人間の欲と、恐怖による支配、そしてそれによる無感動が引き起こすさらにおぞましい事々。どれをとっても、誰もが加害者であり誰もが被害者でもあるように見える。だが、誰にも同情はできない。ラストは、一種の救いなのかもしれないが、それで済ませてしまっていいのか、という疑問も残る。とにかくおぞましいの一言に尽きる一冊だった。

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