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生かさず殺さず*久坂部羊

  • 2020/09/18(金) 18:19:57


がんや糖尿病をもつ認知症患者をどのように治療するのか。認知症専門病棟の医師・三杉のもとに、元同僚で鳴かず飛ばずの小説家・坂崎が現われ、三杉の過去をモデルに「認知症小説」の問題作を書こうと迫ってくる。医師と看護師と家族の、壮絶で笑うに笑えない本音を現役医師が描いた医療サスペンスの傑作。


さまざまな病気を抱える認知症患者専門の病棟、人呼んで、にんにん病棟が舞台である。それだけで、一筋縄ではいかないことは想像に難くない。どんな日常が繰り広げられているのか興味が湧く。現実問題として、病気の認知症患者の身内をお持ちの方は、おそらく、こんな描写はまだまだ生ぬるいとおっしゃるだろうということも想像できる。それを踏まえてさえ、現場の壮絶さがうかがい知れる。患者本人のケアの大変さはもとより、家族の思惑が絡み、家族が複数いれば、それぞれの思惑が同じとは言えず、混乱に拍車をかける。あっちをなだめ、こっちをなだめ、さらには自分の胸の裡までなだめながら、日々ご苦労を重ねておられる病棟スタッフのみなさんには、頭が下がる。さらには、他人事と割り切って読むことができないから、なおさら気分が沈むのである。スパッと解決する方法があればどれほどいいだろう、と思わずにはいられない一冊である。

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