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あの日、君は何をした*まさきとしか

  • 2020/11/24(火) 07:54:37


北関東の前林市で暮らす主婦の水野いづみ。平凡ながら幸せな彼女の生活は、息子の大樹が連続殺人事件の容疑者に間違われて事故死したことによって、一変する。大樹が深夜に家を抜け出し、自転車に乗っていたのはなぜなのか。十五年後、新宿区で若い女性が殺害され、重要参考人である不倫相手の百井辰彦が行方不明に。無関心な妻の野々子に苛立ちながら、母親の智恵は必死で辰彦を捜し出そうとする。捜査に当たる刑事の三ツ矢は、無関係に見える二つの事件をつなぐ鍵を掴み、衝撃の真実が明らかになる。家族が抱える闇と愛の極致を描く、傑作長編ミステリ。


三分の一ほどを占める第一部では、2004年の連続殺人事件の容疑者脱走に関わる事件が描かれ、第二部では、15年後の2019年に起きた、女性殺害事件の捜査から浮かび上がってくるあれこれが描かれている。担当の三ツ矢刑事は、変わり者と評判だが、15年前の事件にも関りがあり、捜査するうちに、否応なく15年前の事件にかかわるあれこれが立ち上がってきて、わからないことを知りたいという思いに突き動かされる。三ツ矢と組まされた田所岳斗は、自分が頼りにならないふがいなさと、三ツ矢の考えを知りたいという思いとで、三ツ矢に惹きつけられていく印象である。どの出来事も一筋縄ではいかない何かを内包しているように思われ、真実がわからないことにもどかしさが募る。殺人犯に間違われてパトカーに追われたあげくに事故死した水野大樹の真実が見えた、と思ったのも束の間、それもまた幻でしかなく、もどかしさとやり切れなさが消え去ることはなかった。それでなおさら現実のままならなさを思い知らされる。胸の奥をひっかかれたような気分が最後まで残る一冊である。

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