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コンピュータの熱い罠*岡嶋二人

  • 2020/11/27(金) 18:37:11


コンピュータ結婚相談所“エム・システム”のオペレータ夏村絵里子はある女性のデータを見たいという客・土井綾子の申し出を断わる。綾子の兄は、エム・システム紹介の女性と新婚旅行中、死亡したのだ。ところが、その綾子は翌日、殺された!疑問を抱いた絵里子はデータを調べるうちに、恋人市川輝雄がエム・システムの会員であることを知り衝撃をうける。さらに、データに重大な秘密が隠されていることに気づく!彼女は同僚古川信宏に相談。彼は、コンピュータに仕掛けられた何かに迫るが、殺されてしまう。謎を追う絵里子。二つの殺人事件の交錯するところにさらに大きな陰謀が…?!何重もの“罠”が読者を魅了するコンピュータ推理の傑作!鬼才の才気あふれる推理作家協会賞受賞第一作!!


1986年の作品である。当時はおそらく最先端だったであろうコンピュータ用語や、データ処理などの用語が出てくるが、現在では別のものに取って代わられているものも多い。そして、関連会社すべてをネットワークでつなぎ、社員の個人情報をつぶさに管理するなど、現在では普通に行われていることのはじまりを覗き見たようでもあって興味深い。とは言え、人間の考えることは、昔も今もあまり変わりがないようで、ずるがしこい奴はいつの時代も狡猾な手を使って自分だけ得をしようとするものである。パソコンが一人に一台の時代でもなく、もちろんスマホなどない時代の物語だが、意外にも古びた印象はそれほどなく、ハラハラしながら先を楽しみに読むことができる一冊だった。

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