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スター*朝井リョウ

  • 2020/11/30(月) 07:27:52


「どっちが先に有名監督になるか、勝負だな」新人の登竜門となる映画祭でグランプリを受賞した立原尚吾と大土井紘。ふたりは大学卒業後、名監督への弟子入りとYouTubeでの発信という真逆の道を選ぶ。受賞歴、再生回数、完成度、利益、受け手の反応―作品の質や価値は何をもって測られるのか。私たちはこの世界に、どの物差しを添えるのか。朝日新聞連載、デビュー10年にして放つ新世代の長編小説。


人類永遠の葛藤、ともいえるテーマである、なぜ生きるか、どう生きるか、ということを、昔ながらのこだわりを持ち続けたいという青年と、新しい世界に飛び込んでいく青年という二つの視点で描いている。だが、突き詰めれば、ひとりの人間が内包する葛藤のようにも見えてくる。何を大事に思い、何を譲らずに生きていくか。立場や年代に関わらず、生きている限り、日々選択し続けなければならない問題でもあるだろう。読みながら、又吉直樹の「火花」と共通する印象も抱いた。新しい題材を用いて普遍的なテーマを描いた一冊と言えるかもしれない。

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