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魔女たちは眠りを守る*村山早紀

  • 2021/01/12(火) 18:32:17


魔女はすべてを覚えている。ひとの子がすべてを忘れても。どこか遠い空の彼方へ、魂が去って行こうとも。そして地上で魔女たちは、懐かしい夢を見る。記憶を抱いて、生きてゆく。その街は古い港町。桜の花びらが舞う季節に、若い魔女の娘が帰ってきた。赤毛の長い髪をなびかせ、かたわらに金色の瞳をした使い魔の黒猫を連れて。名前は、七竃・マリー・七瀬。目指すは、ひとの子たちが「魔女の家」と呼ぶ、銀髪の美しい魔女ニコラのカフェバー。懸命に生きて、死んでゆくひとの子と、長い時を生きる魔女たちの出会いと別れの物語。


はるか、はるか昔から、人の世に紛れ、人間たちをそっと見守り続けてきた魔女と、ひとの子たちとの心の通い合いの物語である。読みながら何度も切なくなったり、悲しくなったり、やさしい気持ちになったり、胸が熱くなり、目の前がぼやけることがあった。やさしい気持ちでいられたら、いつか魔女の家に辿り着くことができるだろうか。ふと空を見上げた時、ほうきに乗って飛ぶ魔女の姿を目にすることができるだろうか。ついそんな風に思ってしまう。やさしくあたたかい気持ちにさせてくれる一冊だった。

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