FC2ブログ

スキマワラシ*恩田陸

  • 2021/02/24(水) 18:29:57


白いワンピースに、麦わら帽子。廃ビルに現れる“少女”の都市伝説とは?物に触れると過去が見える、不思議な能力を持つ散多。彼は亡き両親の面影を追って、兄とともに古い「タイル」を探していた。取り壊し予定の建物を訪ねるうち、兄弟はさらなる謎に巻き込まれて―。消えゆく時代と新しい時代のはざまで巻き起こる、懐かしくて新しいエンタテインメント長編。再開発予定の地方都市を舞台にした、ファンタジックミステリー。


両親を事故で亡くした散多は、纐纈(こうけつ)散多(さんた)という自分の名前の由来を訊くこともできず、兄・太郎の名前との格差を不思議に思っていた。そして、以前から、ある種の物に触れたときに、残留思念とでもいうようなものが視えるという特質を持っていた。それは兄もよく理解して受け容れてくれている。ある日、古いタイルに触れて、瓦礫のような景色と若いころの両親のような男女を視てから、両親にも関係のありそうな、阿久津ホテルという取り壊されたホテルのタイルが、別の場所に転用されている事実に至り、古物商の仕事のついでに、そのタイルを探し、それとともに、古い建物が取り壊されるときに現れる、夏服の少女の謎も追うことになる。日常のさまざまなちいさなことにもヒントがあり、あちらとこちらをつなぐピースが埋め込まれている。どんなきっかけで、あちらとこちらがつながるのか、つながるとどうなってしまうのか、ドキドキわくわくが止まらなくなる。462ページというボリュームを感じさせないほど、ページを繰る手が止まらなかった。散多の名前の秘密も判り(鶏と卵のようだが)、怖いことが起こりそうでいて、最後はしあわせな気分に包み込まれるような読後感の、読み応えのある一冊だった。

この記事に対するトラックバック

この記事のトラックバックURL

この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

この記事に対するコメント

この記事にコメントする

管理者にだけ表示を許可する