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ストラングラー*佐藤青南

  • 2021/03/16(火) 16:27:00


警視庁捜査一課の箕島朗は、小菅の東京拘置所に向かった。面会相手は死刑囚・明石陽一郎。十四年前に四件の殺人を犯したとされる男である。事件当時大学生だった箕島は、恋人の久保真生子を殺されていた。最近発生した“ストラングラー”と呼ばれる犯人による連続殺人は、明石の事件と共通項が多い。懸命に感情を押し殺して尋問する箕島に、明石は驚くべき発言をする。「十四年前の事件は冤罪だ。あんたに、おれの無実を証明する手助けをしてほしい」―。


元警察官で、四人の殺人で死刑判決を受けた明石は、裁判中から終始無罪を主張している。彼の信奉者とでもいう人物たちは、冤罪を証明しようと動いている。明石に恋人を殺されたことで刑事になった簑島は、憎み続けた明石と面会し、葛藤しつつも、少しずつ人間としての明石に心を動かされていく。警察の闇と、一人の刑事の正義感。やりきれない思いの持っていき場がないままラストを迎えてしまった。背筋が凍るような終わり方だが、次に続くのだろうか。真実を知りたい一冊である。

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