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土曜はカフェ・チボリで*内山純

  • 2021/03/24(水) 16:14:29


児童書の出版社に勤める香衣は、とあるきっかけで“カフェ・チボリ”を訪れ、常連客となる。美味しい料理とあたたかなもてなしに毎回すっかりくつろいで、常連客たちは、身の回りで起こった謎について語り始める。それらはいずれも『マッチ売りの少女』や『人魚姫』などアンデルセン童話を彷彿とさせる出来事で―。「皆さん、ヒュッゲの時間です」高校生店主のレンが優雅にマッチを擦ると、謎は瞬く間に解かれてゆく。土曜日だけ営業する不思議なカフェでの安楽椅子探偵譚。


「マッチ擦りの少女」  「きれいなあひるの子」  「アンデルセンのお姫様」  「カイと雪の女王」

登場人物たちの年齢や境遇、立場もさまざまで、出会い方もちょっと変わっている。そして、何よりいちばん変わっているのは、物語の舞台となるカフェ・チボリである。営業日然り、立地然り、店の設え然り、メニュー然り。何よりマスターが高校生の男の子なのである。そこに持ち込まれるちょっと変わった謎を、常連客達がそれぞれの立場で推理し、解き明かす。それがきっかけになって、ますますきずなが深まっていくのである。チボリのマスターレンの一族の経緯も興味深く、一話完結の連作ながら、すべて流れがつながったひとつの物語としても愉しめる。ぜひシリーズ化してほしい一冊である。

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