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サンドの女 三人屋*原田ひ香

  • 2021/05/13(木) 07:08:06


朝は三女・朝日の喫茶店、昼は次女・まひるの讃岐うどん屋、夜は長女・夜月のスナック――志野原家の美人三姉妹が営む「三人屋」は、朝日の就職を機に、朝の店を終了、業態を転換することになった。
朝日が出勤前に焼いたパンを使い、まひるが朝からランチ時まで売る自家製の玉子サンドイッチが、見映えも良くおいしいと大評判に。
かたや長女のスナックは、ラプンツェル商店街で働き、暮らす人々のサロンとしてにぎわっている。
ゲイの青年、売れない作家、女泣かせのスーパー店長など、ワケあり常連客たちが夜ごと来店、三姉妹の色恋沙汰を肴に、互いの悩みを打ち明けあったり、くだを巻いたり…
悲喜こもごも、味わい深い人間模様を描く大ヒット小説『三人屋』待望の続編! 心も体もくたくたな日は「三人屋」の新名物「玉子サンド」を召し上がれ!


シリーズものと知らずに二作目から読み始めてしまった。下地がないので、登場人物の関係性や舞台の空気感をつかむまでは、物語に入り込み難かったが、次第に把握できてくると、朝、昼、夜、それぞれのラプンツェル商店街の貌が見えてきて、この町に暮らす人たちの気質のようなものも感じられるようになってくる。いつも端っこにいる脇役のような印象だった人にも、その人だけの人生があり、他人のこと自分のこと、さまざま考えながらそこで役割を果たしているのだと、登場人物すべてに愛おしささえ感じられるようになる。きのうと同じ明日は来ないが、少しずつ貌を変えながら、三人屋が続いていくことを願いたくなる一冊である。

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