fc2ブログ

あおい*西加奈子

  • 2021/05/22(土) 13:26:50


二七才、スナック勤務のあたしは、おなかに「俺の国」と称した変な地図を彫っている三才年下のダメ学生・カザマ君と四か月前から同棲している。ある日、あたしは妊娠していることに気付き、なぜか長野のペンションで泊り込みバイトを始めることに。しかし、バイト初日、早くも脱走を図り、深夜、山の中で途方に暮れて道の真ん中で寝転んでしまう。その時、あたしの目に途方もなく美しい、あるものが飛び込んでくる―。表題作を含む三編を収録した、二五万部突破「さくら」著者の清冽なデビュー作。


デビュー作と知ると、うなずけるところがある。技巧を凝らさず、素のままを描いているように見せる腕は、すでに確かである。読み手の性質によって、好き嫌いがわかれるかもしれないとも思う。だらだらと日々を垂れ流しているように見えなくもないが、裡にはある種のいら立ちと背筋を伸ばしてすっくと立ちたい思いが凝っているような気がする。なんとも言えず愛情深い一冊である。

この記事に対するトラックバック

この記事のトラックバックURL

この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

この記事に対するコメント

この記事にコメントする

管理者にだけ表示を許可する