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あきない世傳金と銀 十 合流篇*高田郁

  • 2021/06/03(木) 18:34:45


呉服太物商でありながら、呉服仲間を追われ、呉服商いを断念することになった五鈴屋江戸本店。
だが、主人公幸や奉公人たちは、新たな盛運の芽生えを信じ、職人たちと知恵を寄せ合って、これまでにない浴衣地の開発に挑む。
男女の違いを越え、身分を越えて、江戸の街に木綿の橋を架けたい──そんな切なる願いを胸に、試行錯誤を続け、懸命に精進を重ねていく。
両国の川開きの日に狙いを定め、勝負に打って出るのだが……。
果たして最大の危機は最高の好機になり得るのか。
五鈴屋の快進撃に胸躍る、シリーズ第十弾! !


なんともう十作目である。毎度毎度、気をもみ、理不尽さに歯噛みし、いわれのない仕打ちに地団太を踏みながら、それでも必ず希望の光がはっきりと見えて、胸をなでおろしてきたのだが、今作では珍しく、余計な横やりは入らず、その日をひたすら心待ちにしながら読み進むことができた。とはいえ、五鈴屋にとって、幸にとっては、一大転機であり、主従の絆やお客との信頼関係もさらに堅固なものになった印象である。今作が穏やかだっただけに、次作での波乱がいまから心配ではあるが、引き続き楽しみに待ちたいシリーズである。

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