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傷痕のメッセージ*知念実希人

  • 2021/07/04(日) 16:20:16


息をのむ展開と瞠目のラスト! 医療×警察ミステリの新地平!!

「死んだらすぐに遺体を解剖して欲しい――」医師の千早が父の遺言に従い遺体を解剖すると胃の内壁に暗号が見つかった。28年前、連続殺人事件の犯人を追うため父が警察をやめたことを知った千早は、病理医の友人・紫織と協力して、胃に刻まれた暗号を読み解こうとする。時を同じくして28年前の事件と酷似した殺人事件が発生。現在と過去で絡み合う謎を、千早と紫織の医師コンビが解き明かす!


胃壁に暗号とは、凡人には思いつくことのできない設定である。遺族が断固として解剖を拒んだら、物語はまったく成立しなくなってしまうが、そこは小説なので、病理解剖医の熱意と、遺族としての真実を知りたい欲求で乗り切ったわけである。医大時代の同級生で現在の指導医である紫織への屈折した思いがあった千早だったが、亡き父の心の声を必死に聞き出そうとする紫織の姿を見、また、28年前の事件と絡めて、自分たちに寄り添って捜査をしている桜井刑事との連携もあり、最後にはベストバディといった感じになっている。あまりにも重い題材だったが、千早と紫織のキャラと、桜井刑事の独特の捜査のせいか、重たくなり過ぎることなく、前向きな気分になれる一冊でもあった気がする。

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