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彗星物語*宮本輝

  • 2005/05/02(月) 20:48:07

☆☆☆☆・


 城田家にハンガリーからの留学生がやってきた。
 総勢十三人と犬一匹。ただでさえ騒動続きの大家族に、
 あらたな波乱が巻きおこる。
 異文化へのとまどい、肉親ゆえの愛憎。泣き、笑い、時に激しく衝突しながら、
 家族一人ひとりは、それぞれの政の新しい手がかりを得る。
 そして別れ――。人と人の絆とはなにかを問う長篇小説。

                      (文庫裏表紙より)


キーワードは、城田家の母、敦子が突然胸に抱いた≪突如、彗星の如く≫という言葉だろう。
彗星は、天の一角に現われ、刷毛で撫でるように通り過ぎてゆくのだ。人生における人と人との出会いもまた、これと似たようなものなのではないか。ある一時期にその人の人生と並行し、あるとき交差してすれ違ってゆく。たとえ一瞬のことだとしても、与え与えられるものは数え切れないほどなのだ。
人間でも犬でも、そして彗星でも、出会えたということだけで、それはそれは強い絆で結ばれているということなのだと、読み終わってしみじみ思う。一期一会という考え方にも通ずるだろう。

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