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神のダイスを見上げて*知念実希人

  • 2021/08/24(火) 19:28:39


地球に向けて、巨大小惑星ダイスが接近中。人類は、あと5日で終わりを迎える。人々はその瞬間、『裁きの刻』をどう迎えるのか―。高校生の漆原亮の姉、圭子が殺された。コスモスの咲き乱れる花壇で、全裸で胸にナイフを突き刺された姿で発見された姉は、亮にとって唯一の家族、“世界そのもの”だった。恋人のこともそっちのけで、亮はとにかく犯人を見つけ出し、自分の手で復讐したいと暴走。そして“あるもの”を手に入れるため、クラスの“禁忌”と呼ばれる異端児・四元美咲に接触する。優しく、美しかった圭子を殺したのは、圭子の恋人だったのでは?しかしそれが誰なのかわからない。犯人を追い求めて、亮は圭子が入っていた天文学同好会、そしてダイスを崇拝するオカルト集団「賽の目」に踏み込んでいく…。人類滅亡まであと幾日もない中で、なぜ圭子は殺されなければならなかったのか―。絶望×青春ノンストップタイムリミット・ミステリー!!


人類が滅亡するまでの5日間に、何を成し、その時をどう迎えるか、という物語である。二人だけの家族だった姉を無残に殺された高校生の亮は、姉を殺した犯人を何としても自らの手で殺してやる、と決意し、当てにならない警察を横目に見ながら捜査し、目星を付けるが、ことごとく覆される。真実と向き合うとき、その切なさと成す術のなさに打ちのめされるが、新たに得たものもあり、僅かな光が見える。ダイスが地球に直撃する「裁きの刻」の直前で物語は終わっており、読者にゆだねられるが、どちらの結果になっても、それなりに納得できる気がする。医療ミステリの方が断然好みだが、これはこれで愉しめた一冊だった。

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