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君と歩いた青春 駐在日記*小路幸也

  • 2021/09/04(土) 16:30:25


「祈りなんていう非科学的なものが、誰かを救うこともあるんです」

昭和五十二年。元刑事・蓑島周平と元医者・花の夫婦の駐在生活も三年経ち、すっかり村の一員に。だが相変わらず雉子宮には、事件の種はつきないようで――。
冬 水曜日の雪解けは、勘当者
病気で倒れた村長さん。そこに勘当された娘が戻ってきた!

春 月曜日の来訪者は、スキャンダル
世間が芸能スキャンダルに沸く中、村に自称小説家の男が表れて……

夏 日曜日の幽霊は、放浪者
山で度々起きるお化け騒ぎ。その悲しき真相は……

秋 木曜日の謎は、埋蔵金
村に埋蔵金発掘のテレビが! でもそこにはとんでもないものが埋まっていた……。

家族の絆と人の優しさが胸を打つ。「東京バンドワゴン」シリーズ著者による大好評短編シリーズ第三弾。


日々のどかで、事件など何も起こらなさそうに思える雉子宮の駐在所が舞台の物語である。自然豊かでのどかなのは確かなのだが、これが結構事件が起こる。外から持ち込まれたり、お家騒動もどきだったり、昔の因縁がらみだったりと、さまざまではあるが、元刑事の駐在・周平さんの人を見る目と勘の鋭さに、妻の花さんの医師の目も加わり、その人脈の豊かさも助けとなって、八方良しの解決に導いてしまうのは、人徳とも言えるだろう。雉子宮の安寧にかなり貢献しているのは間違いない。村の人もみんないい人たちで、誰もが役に立ちたいと思って行動しているのが伝わってくる。若い人たちが、新しいことを考え始めているようなので、どんな風に変わっていくかも愉しみなシリーズである。

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