fc2ブログ

朝倉かすみリクエスト! スカートのアンソロジー

  • 2021/10/03(日) 18:52:19


読書家にして、市井の名もなき男女の機微を自在に描く朝倉かすみが、今いちばん読みたいテーマで、いちばん読みたい作家たちに「お願い」して、一筋縄ではいかないアンソロジーができました。もちろん、「女性の物語」とは限りません。


「明けの明星商会」 朝倉かすみ
「そういうことなら」 佐原ひかり
「くるくる回る」 北大路公子
「スカートを穿いた男たち」 佐藤亜紀
「スカート・デンタータ」 藤野可織
「ススキの丘を走れ(無重力で)」 高山羽根子
「I、Amabie」 津原泰水
「半身」 吉川トリコ
「本校規定により」 中島京子

一見すると軽やかなようであって、その実深くて重いテーマなのだと、読んでみて今更ながら実感したのだった。たかがスカート、されどスカートである。編者の朝倉かすみ氏は、なんと絶妙なテーマを提起したことだろう。これを差し出された作家のみなさんの頭の中には、まず最初にどんな閃きがあったのだろうか、興味深いところである。いろんな仕立て方があるだろうな、と想像はしたのだが、圧倒的に軽やかな肯定感は見受けられず、どこかジェンダーがらみの屈託を抱えるものとして描かれるものが多い印象である。スカートというものは、今やこういう存在なのか、と再認識させられもした。深い。何事にも是もあり非もあり、疑問に思うことから何かが始まるのだと考えさせられる一冊でもあった。

この記事に対するトラックバック

この記事のトラックバックURL

この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

この記事に対するコメント

この記事にコメントする

管理者にだけ表示を許可する