fc2ブログ

あなたのいない記憶*辻堂ゆめ

  • 2021/10/22(金) 13:33:08


絵画教室をやめて以来、大学で約十年ぶりに再会した優希と淳之介。
旧交を温める二人だったが、絵の講師の息子だった「タケシ」という人物について、
それぞれ記憶が書き換わっていることに気づく。
タケシのことを架空の人物と思っていた優希と、有名スポーツ選手と勘違いしていた淳之介は、
タケシの幼馴染・京香に連れられ、心理学の専門家・晴川あかりのもとを訪れる。
「虚偽記憶」現象の原因究明を始めた四人が辿りつく真相とは――。
進化を続ける新鋭・辻堂ゆめが放つ渾身の一作!


久しぶりに出会った故郷の幼馴染。良く知っているはずのある人物に関する記憶だけが、まったく食い違っていた。冒頭からぐいぐい興味を惹かれる。現実として、素人にここまでできるかどうかは於くとしても、記憶の曖昧さに関しては、思い当たることも多々あり、魅力的なテーマである。そして、そこに至るストーリーも、切なくやりきれなく愛おしさにあふれたものではあるが、だからといって、記憶を改ざんされた方はたまったものじゃないよなぁ、というもやもや感もある。予想よりもはるかに読み応えのある一冊だった。晴川あかり先生のことをもっと知りたくなった。

この記事に対するトラックバック

この記事のトラックバックURL

この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

この記事に対するコメント

この記事にコメントする

管理者にだけ表示を許可する