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月夜の羊*吉永南央

  • 2021/12/05(日) 16:25:27


コーヒー豆と和食器の店「小蔵屋」を営む杉浦草は、秋のある日、道端で「たすけて」と書かれたメモを拾う。
折しも紅雲町では女子中学生が行方不明中。メモと関連づけ、誘拐・監禁を視野に警察も動き出すが、直後に少女は家出とわかる。そして、無関係なメモの件は放置される。
腑に落ちないお草は周辺をあたり、独居の老女が自宅で倒れているのを発見、救助する。ところが数日後、留守のはずの老女宅に人の気配を感じて――。
親の介護や「8050問題」に悩む人びとに、お草さんの甘いだけではなく厳しさも伴う言動は響くのか。
人気シリーズ第9弾!


今回も、あれやこれや深刻な問題が舞い込んできたり、行き当たってしまったりする。要らないおせっかいかと思いはするが、どうにも気になって首を突っ込み、あれこれ世話を焼き、気をもむことになる。登場人物がみな、丸ごと善人というわけでなく、悪い心がちらりと覗いたりするのも、人間臭くて好感が持てる。お草さんにしてからが、もちろん基本的に善人ではあるが、打算的であったりもするので、そこがまた魅力的である。カップルの問題、家族の問題、学校の問題、引きこもりの問題、介護の問題、などなど、誰にとっても無関係ではいられない問題のあれこれが、描かれていて、考えさせられる一冊でもある。

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