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ヴィクトリアン・ホテル*下村敦史

  • 2021/12/19(日) 10:37:14


事件、誘惑、秘密の関係……すべてを見ているのは、このホテルだけ。
張り巡らされた伏線、交錯する善意と悪意に一気読み&二度読み必至!

伝統ある超高級ホテル「ヴィクトリアン・ホテル」は明日、その歴史にいったん幕を下ろす。ホテルを訪れた宿泊客それぞれの運命の行方は――?

『闇に香る嘘』『黙過』『同姓同名』など、話題作を次々発表する社会派ミステリの旗手がエンターテインメントを極めた、感動の長編ホテルミステリー! !

【主な登場人物】
佐倉優美――悩める人気女優
三木本貴志――自暴自棄なスリ
高見光彦――新人賞受賞作家
森沢祐一郎――軟派な宣伝マン
林志津子――人生の最期をホテルで…


映像化には向かない趣向である。登場人物それぞれの視点がひとつの章として描かれているので、読者は、同じ場面を複数の角度から見ることもあるのが興味深い。そして、しばらく読み進めると、細かい描写に些細な違和感を覚えることが増えてくる。違和感の正体を探ろうとさらに読み進めると、後半にそれは明きらかになるのだが、もう少し後まで、素直に読ませてほしかった気は少しする。とは言え、全体を通して描かれているのは、人間のやさしさであり、善意が悪意に負けてはいけないというメッセージなのではないかと思えた。ホテルの設えなどは、映像化されたところを見てみたいが、無理な願いだろう。著者のほかの作品も読んでみたいと思わされる一冊だった。

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