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御坊日々*畠中恵

  • 2022/01/21(金) 18:35:24


明治20年。僧冬伯のもとへは困り事の相談に日々客人が訪れる。本日は店の経営不振に悩む料理屋の女将で……。僧侶兼相場師の型破りな僧侶と弟子の名コンビが、檀家たちの悩みを解決しながら、師僧の死の真相を追う。連作短編エンターテイメント!


僧侶が主人公の物語なのだが、説教臭さは全くなく、かえって人間臭い印象である。江戸から明治に移り変わり、時代の流れに遅れないように生きる人々の懸命さや、乗り切れなかった人たちの苦悩もわかりやすく、寺の師弟の信頼関係も微笑ましい。悟りすましていない師僧・冬伯と、生真面目な弟子・玄泉のやり取りも心温まるものである。檀家がどんどん増えて、寺の運営が楽になってほしいと思う反面、このまま貧乏寺で、自由に動き回り謎を解く状態が続いてほしいとも思ってしまう。もっと東春寺界隈のことを知りたくなる一冊である。

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