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あきない世傳金と銀 十一 風待ち篇*高田郁

  • 2022/02/04(金) 16:34:34


湯上りの身拭いにすぎなかった「湯帷子」を、夕涼みや寛ぎ着としての「浴衣」に
──そんな思いから売り出した五鈴屋の藍染め浴衣地は、江戸中の支持を集めた。
店主の幸は「一時の流行りで終らせないためにはどうすべきか」を考え続ける。
折しも宝暦十年、辰の年。かねてよりの予言通り、江戸の街を災禍が襲う。
困難を極める状況の中で、「買うての幸い、売っての幸せ」を貫くため、幸のくだす決断とは何か。
大海に出るために、風を信じて帆を上げる五鈴屋の主従と仲間たちの奮闘を描く、シリーズ第十一弾! !


今回も、章の終わりごとに泣かされる。浴衣にまつわる物語で、太物仲間の店々との信頼関係もしっかり築け、五鈴屋が再び呉服を商う道も開けそうである。地道に、心を込めて、利他の心で物事に当たっていれば、きっと道は拓けるのだと、改めて教えられる思いである。ただひとつ、気になり続けるのは、妹の結のことである。いつの日か、かたくなな心が解ける日が来ることを祈りたい。次も愉しみなシリーズである。

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