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監禁*秋吉理香子

  • 2022/02/05(土) 16:47:58


幼い娘の育児と仕事の両立に限界を覚えた由紀恵にとって、今日が勤務の最終日。
夜勤の間は、夫の雅之が自宅で娘を見ている。
だが、ラインのメッセージに返事はない。電話をかけても繋がらない。
由紀恵は自分に執着していた不気味な患者の存在を思いだし、胸騒ぎを覚える。
家族の絶望と狂気、そして再生を描いた戦慄のサスペンス。


ストーカーによる監禁、自宅での監禁など、さまざまな監禁の形が描かれているが、勤務する病院で、娘の無事を心配しながらも連絡がつかず、帰ることもできないというのも、ある種の監禁と言えるかもしれない。だが、いちばん怖かったのは、由紀恵が自宅であの男に監禁される場面である。最終日の勤務を終えて、ほっとして自宅に戻ったところ、何がなんだかわからない状況で、娘を人質に取られたような状況で逃げるに逃げられず、どうすることもできないというのは、精神的にも身体的にもダメージが大きすぎる。吊り橋効果というのか、ラストは何となくハッピーに終わったが、そこはもうひとひねり欲しかったような気はする。著者にしては、素直過ぎる結末だったかもしれない。とはいえ、充分すぎる恐怖は味わえた一冊である。

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