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N*道尾秀介

  • 2022/02/07(月) 06:47:34


全六章。読む順番で、世界が変わる。
あなた自身がつくる720通りの物語。

すべての始まりは何だったのか。
結末はいったいどこにあるのか。

「魔法の鼻を持つ犬」とともに教え子の秘密を探る理科教師。
「死んでくれない?」鳥がしゃべった言葉の謎を解く高校生。
定年を迎えた英語教師だけが知る、少女を殺害した真犯人。
殺した恋人の遺体を消し去ってくれた、正体不明の侵入者。
ターミナルケアを通じて、生まれて初めて奇跡を見た看護師。
殺人事件の真実を掴むべく、ペット探偵を尾行する女性刑事。

道尾秀介が「一冊の本」の概念を変える。


いままで見たことのない本である。どの章から読み始め、どんな順番で読んでも物語が成り立つというのももちろん、章ごとに、本を物理的に反転させて読む、という作り方も斬新である。次の物語に移るまでにワンクッション置くことで、時空を切り替える効果もあるような気がする。物語はゆるく繋がり、人物も出来事も、シンクロしていて、あの時あの出来事の裏では、この人がこんなことをしていたのかと、あとになって納得させられることも多い。その感覚が新鮮であり興味深い。象徴的な存在である天使の梯子が作る花が、切なさとあたたかさを同時に感じさせてくれる一冊だった。

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