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夜が明ける*西加奈子

  • 2022/02/18(金) 16:49:42


15歳の時、 高校で「俺」は身長191センチのアキと出会った。
普通の家 庭で育った「俺」と、 母親にネグレクトされていた吃音のアキは、 共有できる ことなんて何一つないのに、 互いにかけがえのない存在になっていった。 大学卒業後、 「俺」はテレビ制作会社に就職し、 アキは劇団に所属する。 しかし、 焦がれて飛び込んだ世界は理不尽に満ちていて、 俺たちは少しずつ、 心も身体 も、 壊していった......。
思春期から33歳になるまでの二人の友情と成長を描 きながら、 人間の哀しさや弱さ、 そして生きていくことの奇跡を描く。
本書は著者が初めて、 日本の若者の生きていく上でのしんどさに真正面から取り組んだ作品。


現代社会が目を背けるさまざまな問題に真っ直ぐに向き合って描かれた物語である。問題はひとつではなく、その原因も、対処法も、結果として現れる事々も、当事者の数だけあって、一概にどうすればいいと言えるものではない。ただ、そういう問題があるということを、共通認識としてそれぞれが心に持っているかどうかで、ほんのわずかでも光を当てられる可能性があるのかもしれないと思わされる。無関心でいることがいちばんの罪なのかもしれない。言葉通り身を削るようにもがきながら生きている人たちに、朝の光が差し込むことを、心の底から祈らずにはいられない一冊である。

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