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真夜中のマリオネット*知念実希人

  • 2022/03/19(土) 18:41:40


私が救ったのは、天使か、悪魔か――。
殺した後、一晩かけて遺体をバラバラにする殺人鬼――通称「真夜中の解体魔」。
婚約者を殺された救急医の秋穂は、深い悲しみを抱えながらもなんとか職場に復帰をしたところだった。
そこに運ばれてきたのは、交通事故で重傷を負った美少年・涼介。
無事、命を救うことができたが、手術室を出た秋穂に刑事が告げる。
「彼は『真夜中の解体魔』だ」と――。
涼介に復讐しようとする秋穂に、涼介は綺麗な涙を流しながら訴える。
「僕は罠にかけられただけなんです」と――。
無実に思える証拠を見せられた秋穂は、ためらいながらも涼介と真犯人を探すことになるが……。
涼介は真犯人に操られた哀れな人形(マリオネット)なのか、それとも周囲を操る冷酷な人形遣いなのか。
衝撃のクライマックスに、きっとあなたは絶叫する。
知念実希人が贈る、究極のクライムサスペンス。


誰が本当の悪なのか。読み進むほどに、あっちへこっちへと揺れ動き、なかなか的を絞って感情移入できない。さまざまな形で、人に、気持ちに操られる者たち。マリオネットの供宴とでもいった趣である。真実に向かって大逆転、と思うも束の間、最後の最後に、最悪の裏切りを見せられ、(信じ切っていたわけではないにもかかわらず)ダメージから立ち直れない。野放しにしては絶対にダメな人間である。著者には珍しく、後味の悪すぎる一冊だった。

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