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停電の夜に*ジュンパ・ラヒリ

  • 2005/05/17(火) 21:18:19

☆☆☆・・


 ろうそくの灯されたキッチンで、停電の夜ごと、
 秘密を打ちあけあう若い夫婦。
 病院での通訳を本業とするタクシー運転手の、ささやかな「意訳」。
 ボストンとカルカッタ、はるかな二都を舞台に、
 遠近法どおりにはゆかないひとの心を、細密画さながらの筆致で描きだす。
 ピュリツァー賞、O・ヘンリー賞、PEN/ヘミングウェイ賞ほか独占。
 インド系新人作家の鮮烈なデビュー短編集。

                     (単行本見返しより)


 言えなかったこと。
 言ってはいけないこと。

と、裏表紙にはある。
近しい関係にあっても遠く感じること、言えないこと、言わなかったこと、言ってはいけないこと、言わなければいけなかったことは、おそらく誰にでもあるだろう。
ラヒリの描く世界は、インド系の移民であるということを脇においては語れない事々だと思う。そして同時に、どこの国でも、どんな境遇の人々にも当てはまることでもあるのだ。
生きていくということは、予想通りになることや、理想的であることとは対極にあって、哀しみや苦しみ、不条理に溢れているが、そんな中にあっても、胸を熱くすることに囲まれてもいるのだ、という想いがじんわりと染みてくるようだ。

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本を読む女。改訂版
活字中毒日記!
Roko's Favorite Things

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  • From: 続 活字中毒日記 |
  • 2009/02/23(月) 23:34:50

この記事に対するコメント

ふらっとさん☆おはようございます
インド人だからこそ考えること、そうでなくても考えること、いろんな胸の内が垣間見える本でしたね。
世界を知ることで、自分自身がもっと見えてくるような気がします。

  • 投稿者: Roko
  • 2009/02/24(火) 08:06:57
  • [編集]

>世界を知ることで、自分自身がもっと見えてくるような気がします。

ほんとうにそう思います。
とても雰囲気があって、深い想いの籠もった一冊でした。

  • 投稿者: ふらっと
  • 2009/02/24(火) 18:31:35
  • [編集]

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