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私の盲端*朝比奈秋

  • 2022/05/20(金) 18:34:12


現役医師の著者によるデビュー作。大学生になった涼子は飲食店のアルバイトや学校生活を謳歌していたがある日、不幸が襲う。不自由な生活を強いられる中で、その意識と身体の変容を執拗に描く表題作に加え、第7回林芙美子文学賞受賞作「塩の道」も併録。


どちらの作品も、扱っている内容が重くて、ひとつひとつ噛みしめながら読みすすめ、読んでいないときにも、頭のなかをさまざまな思いが渦巻く。表題作は、オストメイトになった女性の物語、「塩の道」は看取りと土地柄と医師のかかわり方の物語。題材は重いのだが、語り口はどちらも淡々としていて、ことさら煽ることもなく、沈むこともないのが、却って胸に突き付けられるようでずしんとくる。描写がリアルで、知らないことが多く、揺さぶられるような一冊だった。

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