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二重らせんのスイッチ*辻堂ゆめ

  • 2022/06/23(木) 07:05:20


「桐谷雅樹。殺人の容疑で逮捕する。午前八時十一分」
2015年2月、桐谷雅樹の“日常"は脆くも崩れた。渋谷区松濤の高級住宅地で飲食店経営者が殺害され、現金およそ二千万円を奪われる事件が起きた。凶器が購入された量販店の防犯カメラに映っていたのは、まぎれもなく自分自身の姿。犯行現場から検出されたDNA型は雅樹のものと一致する。紙で切ったはずの手の傷跡、現場付近で寄せられた目撃証言……。すべては雅樹による犯行を示唆していた。やはり俺が犯人なのか――自らの記憶、精神をも疑いはじめた矢先、雅樹の不在証明が偶然にも立証される。しかし、待ち受けていたのはさらなる苦難だった。


冤罪ミステリと紹介されているが、単なる冤罪とはひと味違い、さまざまな意味での社会問題をも織り込んで、複雑な気持ちにさせられる。表層しか見えていなかった時と、少しずつ背景が見えてきた時とでは、事件そのものにも、それを起こした人物たちにも別の感情が湧いてくる。ひとつ開かれたと思った扉の奥には、また別の扉があり、どれが真実なのかがなかなか見えてこない。最後の最後まで気を緩めることができない一冊でもあった。

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