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R.I.P. 安らかに眠れ*久坂部羊

  • 2022/07/12(火) 16:16:50



優しかった兄が、三人もの自殺志願者を殺めた――。世間から極悪人と糾弾される村瀬真也。連続凶悪事件を犯した兄が語り始める不可解な動機を解き明かそうと、妹の薫子は奔走するが、一線を越えてしまった真也の「知らなかった一面」に衝撃を受ける。自殺志願者を次々殺めた男の告白から見えてきた真実とは――。行きすぎた正義と、無関心な親切は、どちらが正しいのだろうか。誰もが目を逸らしたくなる問題に、著者自身も懸命に向き合い書き下ろした長編小説。


自殺したい者とそれを幇助した者、という現実を描いているが、本質はそこにとどまらず、個人の苦しみと他者の関わり方、誰の気持ちを優先するか、等々、立場や視点によって見え方が変わってくるものごとに焦点を当てているように思える。三人の自殺に手を貸した慎也の考え方には、最初は拒否感しかなかったが、読み進めるうちに、納得できるとは言えないまでも、そういう側面もあるかもしれないと、見方を変えて考えてみるきっかけを与えてくれた。だからと言って、慎也を擁護しようとは思えないのではあるが。そして、さらには、信頼して心を預けた人の影響がどれほど計り知れないかということも思い知らされる。導き方によって、人の進む道は変わってしまうのだと、改めて怖ささえ感じる。読後も重いものが胸に沈む一冊である。

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