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人面島*中山七里

  • 2022/08/21(日) 06:35:22


隠れキリシタンの島で起きた、密室殺人の謎

相続鑑定士の三津木六兵の肩には人面瘡が寄生している。毒舌ながら頭脳明晰なその怪異を、六兵は「ジンさん」と呼び、頼れる友人としてきた。
ある日、六兵が派遣されたのは長崎にある島、通称「人面島」。村長の鴇川行平が死亡したため財産の鑑定を行う。島の歴史を聞いた六兵は驚く。ここには今も隠れキリシタンが住み、さらに平戸藩が溜め込んだ財宝が埋蔵されている伝説があるという。
一方、鴇川家にも複雑な事情があった。行平には前妻との間に長男・匠太郎と後妻との間に次男・範次郎がいる。だが二人には過去に女性をめぐる事件があり、今もいがみ合う仲。さらに前妻の父は島民が帰依する神社の宮司、後妻の父は主要産業を統べる漁業組合長である。
そんななか、宮司は孫の匠太郎に職を継ぐべく儀式を行う。深夜まで祝詞を上げる声が途切れたと思いきや、密室となった祈祷所で死んでいる匠太郎が発見された。ジンさんは言う。「家族間の争いは醜ければ醜いほど、派手なら派手なほど面白い。ああ、わくわくするなあ」戸惑いながらも六兵は調査を進めるが、第二の殺人事件が起きて――。
毒舌人面瘡のジンさん&ポンコツ相続鑑定士ヒョーロク、今度は孤島の密室殺人に挑む!


シリーズ二冊目である。今回の舞台は離島。しかも、隠れキリシタンの島で、そこの権力者の一族は、いがみ合いながらも同居している。そこへ、三津木が相続鑑定の依頼を受けて出向くのである。おりしも台風が接近し、船は出ず、停電し、と横溝ワールドさながらな状況になる中、殺人事件が起こる。今回も、ヒョーロクはジンさんに罵倒されながらも、特殊な人間関係や状況を把握しながら、真相に迫っていくのである。横溝的でありながらも、現代的な軽やかさもあり、物語の深刻さはともかく、二人の次の旅が愉しみなシリーズである。

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