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棘の家*中山七里

  • 2022/08/25(木) 07:01:40


家族全員が、容疑者だ。

穂刈は、クラスで起こるいじめに目を反らすような、事なかれ主義の中学教師だった。
しかし小6の娘がいじめで飛び降り自殺をはかり、被害者の親になってしまう。
加害児童への復讐を誓う妻。穂刈を責める息子。家庭は崩壊寸前だった。
そんな中、犯人と疑われていた少女の名前が何者かにインターネットに書き込まれてしまう。
追い込まれた穂刈は、教育者としての矜持と、父親としての責任のあいだで揺れ動く……。


いじめにまつわる物語。加害者、被害者、正義感、事なかれ主義、保身、悪意、憎悪、場当たり的行為、社会的抹殺、ネット社会の闇、などなど、いじめにまつわる、と言っても、あまりにもさまざまな要因と派生することごとがあり、読み終わった後でも、どこで対処を間違ったのか、どこでどうするのが正解だったのかがわからない。人は、自分の置かれた立場でしか判断できないものだということがよくわかる。立場を変えると、見える世界が変わり、どんな行動を起こすかも変わってくる。じわじわとしみ込んでくる現実的な恐ろしさもある一冊だった。

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