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レンタルなんもしない人のなんもしなかった話*レンタルなんもしない人

  • 2022/08/27(土) 09:33:12


「ごく簡単な受け答え以外、できかねます」
twitter発、驚きのサービスの日々。

本当になんもしてないのに、次々に起こる
ちょっと不思議でこころ温まるエピソードの数々。

行列に並ぶ、ただ話を聞く、絵画のモデルになる、一人カラオケに付き合う、
掃除をしているのを見ている、ドラマに出演する、行けなかった舞台を代わりに見る、
カレーを一緒に食べる、ヘッドスパを受ける、裁判の傍聴席に坐る、映画を見る、
ボウリングに付き合う、ブランコをこぐのを見守る、ラーメンを食べる、深夜の徘徊に同行する、
言われたとおりのコメントをDMで返す、離婚届に同行する、なんもしないホストになる……etc

「なんもしない」というサービスが生み出す「なにか」とは。

2018年6月のサービススタートから、
2019年1月31日「スッキリ」(日本テレビ)出演まで、
半年間におこった出来事をほぼ時系列で
(だいたい)紹介するノンフィクション・エッセイ。


レンタルなんもしない人の存在は、ドラマで初めて知った。本書は、Twitterで日々つぶやかれる依頼内容や雑感などがまとめられ、時折O&Aが挿みこまれていて、一般的とは言えない彼の職業(?)に対する疑問も少しは解決するかもしれない。依頼者とともに行った場所や、見たもの、Twitterを通して寄せられたそもそもの依頼内容などの写真も載せられているが、よくある脚注という形ではなく、該当箇所から吹き出しを欄外まで引っ張るような形式になっているので、よりTwitterらしさと臨場感も味わえる。「なんもしない」ことの使われ方の多様性にも目を瞠るし、サービス開始初日はともかくとして、二日目から途切れずに依頼があることにも驚く。いまや、ある種のイベント的にもなっている印象もあるが、切羽詰まった悩みが解消されることもあるようで、なかなか奥が深い。レンタルなんもしない人ご自身も興味深いが、依頼される人たちの心理がまた興味深い。いままでになかった読書体験ができた一冊だった。

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