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いつかパラソルの下で*森絵都

  • 2005/07/10(日) 17:12:21

☆☆☆・・



児童文学の森絵都さんの一般向けの作品。

森絵都さんの児童書はただ無闇に明るいだけではなく、明るさが陰を際立たせるような雰囲気を持つので、それがそのまま一般向けになったとも言える一冊である。
ただ、タイトルから想像していたものよりももっとずっと屈折していた。

≪パラソルの下≫は、この物語の主人公・柏原野々にとっての安らぎの場所の象徴なのだろう。
上手く行かないことごとをすべて亡くなった父のせいにすることで、現実から逃げ、父のせいでなどないことなどとっくに知りながらも知らない振りをして逃げつづけ、そんな自分に嫌気が差しながらもそれにさえ目を瞑って見えない振りをする。
いつまでも続くはずのない、現実に生きながらの逃避行のなかで、思い浮かべられる唯一しあわせな自分が≪パラソルの下≫にいる自分だったのだ。
兄・春日、妹・花とともに父の足跡を求めて渡った佐渡での三日間は、そんな意気地のない気持ちを再確認させられる旅だったのかもしれない。

誰かを赦すということは、きっと弱い人間にはできないことなのだろう。
春日・野々・花、そしてその母は、少しだけ強くなって 少しだけ父のことを赦したのではないだろうか。

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いつかパラソルの下で

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  • From: 雑食レビュー |
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いつかパラソルの下で [森絵都]

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  • From: + ChiekoaLibrary + |
  • 2005/07/10(日) 22:34:43

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いつかパラソルの下で 森絵都

いつかパラソルの下で森 絵都 角川書店 2005-04-26by G-Tools★★★★☆本人は大真面目なんだけど、傍から見るとそこがどうにもこうにも面白い。最初は微笑ましいという程度なんだけど、何度も「クスッ」を繰り返しているうちに、腹を抱えて大笑いしたくなってしまう。でも

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「いつかパラソルの下で」森絵都

「いつかパラソルの下で」森絵都(2005)☆☆☆★★ ※[913]、国内、現代、小説、文芸、三人兄妹、自分探し、モラトリアム 今年(2005年)の4月に発刊、4ケ月後の8月に読んだというのにネットを覗く限り、賛否両論あれど、もはや語りつくされているという感がする本書。つくづ

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いつかパラソルの下で、森絵都

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  • From: 粋な提案 |
  • 2006/05/19(金) 13:18:13

森絵都【いつかパラソルの下で】

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  • From: ぱんどら日記 |
  • 2006/09/28(木) 13:17:05

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  • 2007/02/18(日) 14:29:50

『いつかパラソルの下で』森絵都

いつかパラソルの下で森 絵都 (2005/04/26)角川書店この商品の詳細を見る柏原野々は雑貨店で働く28歳の独身女性。厳格な父の教育に嫌気がさし、成人を機に家を飛び出した。そんな父も死に49日の法要を迎えようとしていた

  • From: まろ茶らいふる |
  • 2007/04/21(土) 22:36:16

この記事に対するコメント

すばやいトラバ、ありがとうございます!。
うかがったら、もうされていたのでびっくりでした。

知りながらも知らない振りをしていた野々が自覚した場面が印象的でした。

  • 投稿者: 藍色
  • 2006/05/19(金) 13:23:38
  • [編集]

ちょうどいいタイミングで見つけちゃったのですね!
森絵都さんの作品は
どれもタイトルから想像するよりも翳りがあって
児童向けのものでも大人っぽく感じます。

  • 投稿者: ふらっと
  • 2006/05/19(金) 13:40:00
  • [編集]

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