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地下鉄(メトロ)に乗って*浅田次郎

  • 2005/07/29(金) 07:11:18

☆☆☆・・

地下鉄(メトロ)に乗って 地下鉄(メトロ)に乗って
浅田 次郎 (1994/03)
徳間書店

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 ファイト!ファイト!!ファイト!!!
 すべての地下鉄通勤者に捧ぐ愛と冒険の傑作ファンタジー!


一代で名を成し財を成した暴君のような父に虐げられ反発しつづけた小沼真次が語る。
帯の惹句から想像したのとはちょっと趣が違ったが、恐ろしくもあり、また胸が温まる一冊だった。

小沼真次は兄が自殺したあと、父親に反発して家を出、小沼財閥を弟の圭三に任せて貧乏暮らしをしている。セールス品がちっとも売れずに、ふらふらと同窓会に出席してしまい、帰りの地下鉄の駅でかつての恩師 のっぺいこと野平先生と出会ったことが引き金になって過去の世界へと運ばれてしまう。
そこで出会った生きることに貪欲なアムールという若者は、なんと若かりしころの父だった・・・・・。
地下鉄の階段が過去のさまざまな時代への通り道となり、どの時代へ運ばれても真次は必然のように父と出会い、その生き様を目の当たりにするのである。
暴君とばかり思ってきた父の現在がどういう理由でここにあるのかを見せつけられた真次にとって、父は反発するだけの存在ではなくなっている。そしてその代償のように大切なものを失ってしまったことに気づくのである。
真次を過去へ運んだのは何だったのだろう。命を終えようとしている父の魂だったのか、それとも 一度たりとも父を認めようとしなかった真次自身の後ろめたさだったのだろうか。
地下鉄(メトロ)はきょうも人生を運ぶ。


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気楽に♪気ままに♪のんびりと♪
道草読書のススメ

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地下鉄(メトロ)に乗って

********************************************************************** 永田町の地下鉄駅の階段を上がると、そこは三十年前の風景。 ワンマンな父に反発し自殺した兄が現れた。さらに満州に 出征する父を目撃し、また戦後闇市で精力的に商いに励む父に 出会う。だが封

  • From: 気楽に♪気ままに♪のんびりと♪ |
  • 2006/12/07(木) 14:49:53

『地下鉄に乗って』浅田次郎

シェアブログ1152に投稿父と子の物語、そして親子の愛情を描いた作品。地下鉄がいざなう過去の世界に、真次がみち子が見出したものは何だったのだろうか。真次のみならず、愛人・みち子までもがなぜ過去へタイムスリップし

  • From: 道草読書のススメ |
  • 2007/02/04(日) 22:20:50

この記事に対するコメント

こんばんは★
親子間の愛情がとても印象的に描かれていましたね。
ラストのみち子の想いには、
運命というものの残酷さに、
胸を締め付けられずにはいられませんでした。

  • 投稿者: Rutile
  • 2007/02/04(日) 22:30:22
  • [編集]

そうですね。
戻ることはできても、変えることはできない運命。
それでも過去を知ることが、真次の運命だったのでしょうね。

  • 投稿者: ふらっと
  • 2007/02/06(火) 07:27:26
  • [編集]

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