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オロロ畑でつかまえて*荻原浩

  • 2005/08/04(木) 07:40:08

☆☆☆・・



 第10回小説すばる新人賞受賞作
 文章は軽妙にしてユーモアに満ち、話は風刺の力にあふれて爽快であり、
 近ごろ稀な快作である。こういう作品に余計な選評は不要、とにかくお読みになって、
 読者それぞれの立場でたのしんでいただければよい。
                    ――――井上ひさし氏評

                               (帯より)

 フタマタカズラの花が咲く年は、村に異変が起こる。
 牛穴村では古くからそう信じられている。白い花が咲けば吉兆。
 赤い花が咲けば凶兆。六十年に一度だけ咲く、といわれるこの花が
 前回開花したときは、赤。ニ・ニ六事件の年だった。
 そのフタマタカズラが、今年、牛穴村に咲く。
 四月初め、雪解けが始まったばかりの山あいの谷間で、小さな蕾を
 ほころばせようとしていた。だが、その蕾の存在も花の色もまだ誰も知らない。
   (プロローグより)

こうして物語は幕を開けるのである。
村の外では話が通じないほど訛りが強く、交通の便も悪いことも手伝ってさびれゆくばかりの牛穴村。
董の立った青年部会の寄り合いの場で、村でただひとり東京の大学を出て、標準語を話せる旅館米田荘の主人・慎一が村おこしを提案する。
慎一は、東京に出たがりの悟と共に、広告代理店に勤める大学時代の友人を頼って上京し、村おこし企画を依頼しようとするのだが――。

本人たちにしてみれば死活問題で、笑い事ではないのかもしれないが、なんとものどかで笑ってしまうところが随所にある。
だが、ただ笑っていられる話ではない。さまざまな風刺があちこちにピリリと利いているのだ。
過疎のことだったり、マスコミ批判だったり、権威至上主義だったり、都会への憧れだったり。
慎一の妻マリアンのママがよく言っていたという

 「裏の庭で見つからないものは、どこ行ったって見つからない」

というひと言がキーワードだろう。

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本を読んだら・・・byゆうき
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オロロ畑でつかまえて 荻原浩

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オロロ畑でつかまえてposted with 簡単リンクくん at 2005. 7. 6荻原 浩集英社 (2001.10)通常24時間以内に発送します。オンライン書店ビーケーワンで詳細を見る「明日の記憶」の荻原浩のデビュー作。「明日の記憶」しか読んでないんで、それはさすがにテーマが重かったんだけ

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この記事に対するコメント

トラバありがとうございました。
 「裏の庭で見つからないものは、どこ行ったって見つからない」
これは、いい言葉でしたねー。
私のように、生まれた時から、ベランダはあっても庭なんかない、
という、せせこましい暮らしをしていると、実感は伴わないんだけど。
だからこそ、格言って感じで、深い言葉に感じました。
楽しい本でしたね!

  • 投稿者: ゆうき
  • 2005/08/04(木) 21:09:06
  • [編集]

裏庭→ベランダ

置き換えちゃうと、見つかるものはほんの少しになっちゃいますものねぇ^^;

牛穴村の人たちの純朴さと、ユニバーサル広告社の怪しげでおかしなな如何わしさの対比もよかったですね。
この広告社、このあともぜひ いろんなところの広告に手を出してほしいです。
シリーズ化されるといいですね。

  • 投稿者: ふらっと
  • 2005/08/05(金) 07:15:54
  • [編集]

おもしろくて、しみじみもできて、すごくよかったです!
最後がまた…最高ですよね!

  • 投稿者: chiekoa
  • 2005/08/08(月) 11:27:06
  • [編集]

牛穴村のこれから

たのしみですね。
村の人たちは我が村の抱えている価値にちゃんと気づくことができるのかしら?
荻原さん、これからも注目です。

  • 投稿者: ふらっと
  • 2005/08/08(月) 12:47:48
  • [編集]

牛穴村の青年団の人たちからすれば笑っちゃいけないんですけど、ドタバタっぷりが滑稽で、その笑いに癒されます。
みんなで村を大事にしていって欲しいですね。
「裏の庭で見つからないものは、どこにいっても見つからない」って、大事なことなのに、人間って気付かないものなんですよね。

  • 投稿者: じゃじゃまま
  • 2008/06/17(火) 23:46:06
  • [編集]

ドタバタが、ただのドタバタで終わっていないところがいいですね。
切なさを湛えたドタバタ劇がとてもしみじみよかったです。

  • 投稿者: ふらっと
  • 2008/06/18(水) 06:46:03
  • [編集]

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