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仔羊の巣*坂木司

  • 2005/08/10(水) 17:21:15

☆☆☆・・



 僕、坂木司とひきこもりの友人、鳥井真一との間にも、変化の兆しはゆっくりと、
 だが確実に訪れていた。やがていつの日か、友が開かれた世界に向かって
 飛び立っていくのではないか、という予感が、僕の心を悩ませる。
 そんな僕の同僚、吉成から同期の佐久間恭子の様子が最近おかしい、と相談されたり、
 週に一回、木工教室の講師をするようになったという木村さんからの誘いで、
 浅草に通うことになった僕たちが、地下鉄の駅で駅員から相談を受けたり、
 と名探偵・鳥井真一の出番は絶えない。
 さらには、僕の身辺が俄に騒がしくなり、街で女の子から襲撃されることが相次ぐ。
 新しく仲間に加わった少年と父親との確執の裏にあるものとともに、
 鳥井が看破した真実とは・・・・・?
 『青空の卵』で衝撃のデビューを飾った坂木司の第二作品集!
  (見返しより)


坂木と鳥井のシリーズ第二弾である。
ひきこもりの鳥井が坂木によってじりじりと少しずつ外に開かれてゆくのは、嬉しくもあり、淋しくもある。どうしても、坂木の心持ちになって読んでしまうのである。
あとがきで、はやみねかおる氏が書くように、前作『青空の卵』とこの『仔羊の巣』はタイトルからして 卵から巣へと世界を広げているのだが、巣の外へ出たときに鳥井を待っているものが何かを想うと、ただ手放しで喜ぶわけにもいかないことに気づいて茫然としてしまう。
どうか彼の出会う外の世界が少しでもやさしいものでありますように、と祈るしかない。
この物語だけでも充分に愉しめるが、『青空の卵』から読みはじめると坂木と鳥井に対する思い入れは倍増するだろう。

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